『薩摩斑目家』の歴史
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124た。斑目氏も従わざるをえなかった、この「出水郷倹約令」の主な条文を見てみよう。一、正月の祝進物は親子兄弟は勿論祖父母・伯父母・其所役頭・文武の師へは、礼を失しない程度に軽い物を送り、鏡餅は親だけとし、其外親類への祝物や鏡餅は一切無用である。一、先祖寺への彼岸米の差出は、先祖祭であるので、一家内五合ずつでよい。一、三月三日の雛祭には菓子類は一切作ってはならぬ。草餅だけでよい。初雛祝も右と同じで、身近の親類中で軽くすること、其の外迄招く必要はない。一、初盆の所へは、成るべく手軽に野菜類を送るだけでよい。灯籠は送ってもよい。一、地頭代衆を招いたときは、吸物・挟肴・取肴・膳部でよい。特別な行事や祝ごとの時は、取肴類弐通、吸物壱つ、一汁二菜又は二汁壱菜、飯を出す時は茶漬けでよい。一、正月七日間は親子兄弟、従兄弟迄は雑煮を出してもよいが、その他の親類に対しては挨拶だけで済ませること。一、乙名税については、一汁一菜とし、焼酎は、その家々に応じて出してもよいが、酒は出してはならぬ。
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