『橘姓斑目家の歴史 古代・中世編』
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117第6章 宝賀寿男氏インタビュー『諸系譜』は一種の稿本、とりあえず書き留めているだけのものなんで、刊行物じゃないんですよ。要するに、世の中にいま一冊しかない状態です。『百家系図』も一冊しかない。『百家系図稿』なんてのははっきりと「稿」と書いているぐらいで、一冊しかないんです。――だから、必ずしも読みやすくはないと(笑)。『諸系譜』にしても『百家系図』にしても、お構いなしにワーッと、要するに彼らの興味の範囲で、系図を採取した順番か何かで、バーッと綴っている。だから、いわゆる普通の系図のイメージとは違います。特に『百家系図稿』の場合は、なかなか読めないですよ。くせがいろいろあって、略字も適宜入っていますんで。もちろん憲信でも真年でも、ちゃんとしたものは始めから終りまできちんと書いてます。真年の『諸氏家牒』とか『諸氏本系帳』とかは、いまは東大史料編纂所のデータベースで原本が写真で見られますが、初めから終わりまでまとまりを付けた形で掲載されています。ものによってはだれの何という本を写したとか、どこどこ所蔵のものを写したとかですね、そういうものも出ています。
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