『橘姓斑目家の歴史 古代・中世編』
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118――いずれにしても二人のことを、系図を商売にする系図屋と見るのは間違いということですか?全くの間違い、思い込みですね。さっき言ったように、二人ともちゃんとした職業を持っている。真年は宮内省、司法省、文部省、陸軍省とか東大とかを転々としていますけど、自分の生涯の目標を「系図学を大成すること」にきちんと定めて動いている人間です(章末の【注】を参照)。憲信は明治以降、弾正台から法曹界につながる仕事を一貫してやっていますし、裁判官と検事もやっている。甲府地裁の所長をやって、大審院判事の一歩手前までいっているわけですよ。そういう人間が何を目的に偽系図を作るんだという事です。そういう経歴の人が系図のインチキをすると考えるほうが尋常ではありません。しかも中田はれっきとした国学者の平田銕かねたね胤の弟子だし、真年だってそういう国学関係者といろいろ付き合っている。当時としてはほとんど最高レベルの知識人ですよ。――改めて、『吉弥侯部氏系図』は信頼できる系図であるという理由をお尋ねします。
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