『橘姓斑目家の歴史 古代・中世編』
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270 第12章 酔談「班目沢と斑目郷」前九年合戦に勝利し東北の雄となった清原一族の本拠地・秋田県横手市。昨年5月中旬、横手市教育委員会の考古学研究者、島田祐悦氏を遺跡調査事務所に訪ねることにした。発掘調査の現場からは斑目四郎の足跡がどう見えるのか。それを聞きたかった。しかしタイミングわるく、約束の日には台風7号が直撃するだろうという予報が出たため、予定を変更せざるをえなくなった。遺跡調査事務所は交通の便が極めてわるい。JRで最寄りの醍醐駅までは行けるにしても、そこから先はタクシーを呼ぶしかない。しかし見たことも聞いたこともない無人駅だ。台風に見舞われれば同駅で立ち往生しかねず、島田氏取材がお流れになってしまう可能性がある。それだけは避けたい。このため前日、取材で滞在していた盛岡市から島田氏に電話を入れた。島田氏の自宅が
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