『橘姓斑目家の歴史 古代・中世編』
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276――では、さっそくですが、今回、私が「斑目四郎の歴史」を取材するきっかけとなったのは、野中哲照教授の論文『出羽山北清原氏の系譜』を読んだことでした。島田さんは野中さんとも親しくされているようですが、この論文をどういうふうに評価しますか。野中先生があの論文を発表されたのは、つい昨年夏のことです。その評価については、まだ今は歴史学会でもまれている状況でしょうね。ここは評価できる、ここは評価できないと、いろいろ議論していくわけですよ。野中先生の説はいわば、この分野の最先端の説ですからね。10年ぐらいたてば学会でも当たり前の説になる可能性もありますけど、いまはまだ世の中に出たばかりの段階です。いくら魅力的な説であっても、とにかく新しい説を唱えると、やっぱり多くの人がいろいろ言うのが世間の常でもありますしね(笑)。――私がこの論文に注目したのは、野中さんが「信用できる」と評価した『吉弥侯部氏系図』の存在です。
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