『橘姓斑目家の歴史 古代・中世編』
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314年合戦(1083~1087年)で存在感を誇っていた時代。虚空蔵大台滝遺跡は清原氏の本拠地である大鳥井柵跡と大規模な柵列・空堀、かわらけの形態や作製技法などが似ている。この類似性から、虚空蔵大台滝遺跡は清原一族関連の城館と見られている。大規模な城館が仏堂を埋め尽くして造成されたと想定される急激な変化は、後三年合戦時下の緊迫した状況を示すとも見られている。それらを理由に、報道発表の時点では「城館の主は山本郡(荒川)に比ひ定ていされる吉彦秀武と関係する一族の可能性も考えられる」とされた。――遺跡は秋田市の南東部にあり、雄物川と岩見川の合流点から東に約4キロメートルの、岩見川右岸に位置する。遺跡の高位平坦面は標高が46メートルあり、御所野段丘地の一部と想定される。館跡は北方向に弓なりに東西約450メートル、南北約300メートルにわたって突き出た形状で、上部が平坦な地形。南東側は岩見川によって、北西側は深い沢によって開析された急斜度の崖面。北東側も本来大小の沢によって浸食された急斜面を形成していたが、現在は東部処理場排水処理施設になっている。館跡の東端部は、東方向約400メートルに位置する豊島館跡の丘陵地から延びる痩せた尾根部に連続している。
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