『橘姓斑目家の歴史 古代・中世編』
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5はじめにC 福島県須賀川市の市立図書館に所蔵された『白河斑目氏系図』(須賀川市史編集資料第二〇集系図)。D 幕末・明治期の系図家・中田憲信が編纂した『諸系譜』の第14巻に収められている『吉弥侯部氏系図』。詳細は本文に譲るが、それぞれの系図の内容を掘り下げていく大前提として、先にクリアしなければならない根本的な問題があった。歴史学の世界では、系図はどうやら危険物扱いされているようで、「系図から考察をスタートさせるのは危ない」と言われているらしいのだ。人間は時代を問わず、だれしも自分と自分の家を特別な存在にしたがる。このため系図を作る時には、多かれ少なかれ脚色を加えがちだ。天皇・貴族や英雄・豪傑たちと自由自在に血統を結ぶ例は全然珍しくない。特に江戸時代になると「系図屋」という商売も登場
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